長年の新規事業開発経験を活かし、副業で約20社の支援を行ってきた森重 敦司さんにインタビューしました。副業案件に応募する際のポイントや、成果を出すための伴走支援の進め方などについてお聞きします。

お仕事: 自動車メーカーにて新規事業開発を担当。新規事業開発、戦略立案の経験が豊富で、新サービスを数多く生み出している。
副業歴:本業では関われない業界の新規事業領域を中心に、3年間で約20社を副業で支援。
「異業種×得意分野」の副業で、成長と貢献を両立する
世界的に有名な電気機器メーカーで、新規事業開発に2年近く副業で携わりました。さまざまな企画を立て、資料化し、打ち合わせをするのが業務内容です。
関係事業をされている方のヒアリングやパートナー事業者の選定などにも携わりながら、伴走支援しました。
約3年前、40歳を超えたタイミングで今後のキャリアについて考えました。本業では、いままで4年に一度くらいの頻度で業務が変わってきたことを考えると、自分が関われる、生み出せるサービスは残り少ないと感じたのです。そこで、副業でより多くのサービスに関わる機会を増やしてみようと思いました。
本業では、まったく異なる領域に関わる機会はほとんどありません。だからこそ「経験はないが興味のある領域」に副業で挑戦しています。たとえば、食品やスポーツ業界、地方創生など、メーカー勤務ではなかなか関われない領域です。
異なる業界で自身の知見を広げながら、得意分野である事業開発でブレークスルーに貢献できる。こうした経験を積めるのが副業の良いところだと思い、3年間で20社ほどの支援を行ってきました。
基本的には本業が休みである土日や、終業後の夜の時間を使って副業をしています。どうしても平日の日中に打ち合わせが必要な場合は、本業のルールに則り休んだり中抜けをしたりすることもあります。
仕事が趣味のようになっているかもしれません。もちろん土日も一日中仕事をしているわけではありませんが、日々のニュースをチェックしている中で「この情報をどう事業に活かそうか」と考える癖がついています。特に、興味のある食品やスポーツ領域に関しては、いつも考えを巡らせています。
そのアイディアを整理し、副業でアウトプットするのが楽しいので、ずっとはたらき続けているという感覚はありません。

成果につながる「伴走支援の在り方」を発見できた
副業案件の募集要項を見ていると、課題感とやりたいことが紐づいていないと感じることがあります。そのような案件の場合は、募集要項に書いていることをそのままやっても、成果は出せません。初回の面談時に課題と解決策の認識合わせをしっかりと行ったうえで、お受けするように心掛けています。
注意しているのは、誰が案件を出したいと思っているのか、実際に誰とはたらくのかを確認することです。
たとえば、社長が「こんなことをプロ人材とやりたい」と思い副業案件を掲載していても、実務は別の担当者と進めるというパターンがあります。担当者に社長ほどの熱量がない場合、支援がうまく進まないことが多いのです。
プロ人材の支援を欲している起案者と仕事ができるのか。担当者は起案者と同じ思いを持っているのか。この点は、支援を開始する前に必ず確認しています。
長年、新規事業に携わってきたこともあり、自分の成功体験を押し付けてしまうことがありました。副業を始めた当初は自分から提案してばかりいて、副業先企業の意向や予算に沿わず、なかなか施策を実施できませんでした。
何度かそうした経験をしたことで「伴走支援」の理解が深まったと思います。企業のやりたいことや予算を尊重し、そのなかで成果を出すにはどうするべきだろう、と考えられるようになりました。
上から目線でアドバイスし、自分は手を動かさない支援では成果は出ません。企業の方と共に悩み、考え、手を動かし、成果が出たら一緒に喜ぶ。「このような伴走の在り方が成果につながりやすい」と発見できたことが、一番成長を実感する部分です。

本業にはないスピード感で経験を積める
新規事業開発は、数をやらなければ経験値が上がらない仕事だと思います。しかし、私の場合、本業だと4年に一度程度しか新規事業を生み出すチャンスは訪れません。副業では3年間に20回の経験ができたので、その分、成長につながったと思います。
本業だけでは、これだけ多くの経験はできなかったと思います。業界、商品、地域、サービスとの新しい出会いや経験をどんどんと増やしていける点が、副業の一番の魅力です。
副業の良さは経験の幅を広げられるところにあると思うので、あえて経験のない領域を選ぶという視点は大事だと思います。
私の場合、副業で初めて触れたアニメや漫画のIP(知的財産)の知見を、本業で使える場面が突然やってきました。本業にあまり関係のない領域、自身の得意ではない領域であっても、将来役立つ可能性があるので、ぜひ新しいチャレンジをしてほしいです。
※ プロフィール内容および仕事内容は、取材当時のものです。