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北海道を「アジアのスタートアップアイランド」にする——そんなミッションを掲げ、“オール北海道”でスタートアップ支援を行うSTARTUP HOKKAIDO実行委員会(以下STARTUP HOKKAIDO)。札幌市役所本庁舎19 階の交流スペース「社交場ヤング」を拠点に活動するSTARTUP HOKKAIDOは、どのようなマインドで日々支援に奔走しているのでしょうか。
本記事では、STARTUP HOKKAIDOの取り組みや、HiPro Directを通じた副業・フリーランス人材によるスタートアップ支援、未来への展望について、STARTUP HOKKAIDO事務局長 藤間 恭平さん、株式会社D2Garage インキュベーショングループ マネージャー 豊田 睦雄さんにお話を伺いました。
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STARTUP HOKKAIDO実行委員会 事務局長。組織全体のマネジメントを担い、北海道全域におけるスタートアップ支援を統括。自身もスタートアップ支援を行う会社を経営し、スタートアップ支援をライフワークとして活動している。
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株式会社D2 Garage インキュベーショングループ マネージャー。東京のデジタルガレージ社と北海道新聞社の合弁会社として設立されたD2 Garageに所属し、2020年から北海道におけるスタートアップエコシステムの推進に従事。現在はSTARTUP HOKKAIDOの事務局メンバーとしても活動し、官民連携の推進役を担っている。
スタートアップ同士の交流を促す、STARTUP HOKKAIDOの役割
豊田氏:STARTUP HOKKAIDOでは、北海道発スタートアップの創出や成長支援を主軸としながら、国内外のスタートアップの集積やアントレプレナーシップの醸成など、エコシステム形成に関する多様な活動を展開しています。また、地域課題をスタートアップのプロダクトやサービスで解決するオープンイノベーションプログラムを実施し、地域とスタートアップとの接点創出にも取り組んでいます。
さらにSTARTUP HOKKAIDOでは、スタートアップ同士の自然な交流を促進しています。異業種間での意見交換が日常的に行われており、新たなビジネスアイデアや共創の機会が生まれることも珍しくありません。例えば、一次産業とITを組み合わせたプロジェクトや、観光業とテクノロジーを掛け合わせたサービスの構築など、独自のコラボレーションがここで生まれています。
また、北海道に優位性のある一次産業や宇宙産業などを中心に、地域資源を活かした新しいビジネスモデルの構築をサポートしています。これにより、地域の課題を解決するだけでなく、日本全国や世界へ展開できる企業を育てることを目指しています。
2024年7月に開設したSTARTUP HOKKAIDOの活動拠点「社交場ヤング」では、業務の合間にカウンターでの軽い会話からアイデアが生まれることもあり、その温かな雰囲気がスタートアップの成長を後押ししています。
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喫茶店をスタートアップ拠点として蘇らせた「社交場ヤング」。日夜新たなアイデアやつながりが生まれています。
古き良きレトロな空間と、未来を切り拓くスタートアップの勢いが交差する
藤間氏:スタートアップの成長には、エコシステム間のプレイヤーがつながる「場」が必要です。喫茶店として地域の方々に愛されてきた古き良きレトロな空間内に拠点を開設することで、未来を切り拓くスタートアップの勢いが地域と交差する場所にしたいという想いで、「社交場ヤング」を立ち上げました。
「社交場ヤング」という名前には、スタートアップが持つ若さや勢い、そして活力を表現したいという想いが込められています。一方で、レトロな空間とのギャップもユニークな魅力だと感じています。
今では業種を越えた連携や新たなビジネスの創出の場となっており、スタートアップの成長における重要な拠点として機能しています。
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「北海道から世界へ羽ばたくためのエコシステムを確立させたい」という藤間さん。
宇宙スタートアップの可能性
藤間氏:宇宙産業は、北海道では特に大きな可能性を秘めた分野です。代表的なものとしては、ロケットの開発や気球を活用した宇宙旅行、衛星データの活用など、宇宙産業に挑戦するスタートアップが活発に活動しています。
例として、衛星データの活用にフォーカスしてご紹介します。衛星データは、農業や防災の分野での活用が進んでおり、農作物の生育状況をモニタリングしたり、災害の早期発見を行ったりと、北海道の広大な土地だからこそ活用の幅が広がっていると感じています。
豊田氏:一つは「場所」です。大樹町には民間にひらかれた商業宇宙港があります。そしてもう一つは「人材」です。宇宙工学の研究に長けた教育機関や研究機関が充実しており、宇宙分野の高度な技術者が集まる環境が整っています。これらが組み合わさることで、北海道は宇宙スタートアップにとって非常に魅力的な地域になっているのです。
今、自動車産業が当たり前であるように、100年以内には宇宙産業がそうなっているかもしれない。時代の少し先を見据えてはたらける点が、スタートアップの魅力だと思います。
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北海道は宇宙ベンチャーが生まれやすい環境と話す豊田さん。実際に農業分野などで衛星データを活用し始めています。
副業・フリーランス人材が北海道スタートアップを支える理由
藤間氏:北海道のスタートアップは初期フェーズでまだまだ成長途中のチームも多くあります。その中で、専門的な知識や技術を持った方々に参画いただくことで、大きな変化が生まれることを期待しています。副業者やフリーランスの方には、ぜひ柔軟な視点で新しいビジネスやアイデアを生み出す力になっていただきたいです。
豊田氏:特にプロジェクトマネジメントやブランディング、技術開発の分野では専門人材の力が不可欠です。HiPro Directを通じて、そういった方々とスタートアップをつなげることで、より効果的な成長が実現できると思います。
藤間氏:変化を楽しみ、挑戦を恐れない方ですね。スタートアップはゼロからイチを生み出す場面が多いので、その過程を楽しみながら前進できる方が活躍できると思います。
豊田氏:地域資源や北海道の特性を理解し、それをビジネスに落とし込む力を持った方にも期待しています。
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北海道から世界へ。その挑戦は今まさに始まったばかりです。
STARTUP HOKKAIDOが目指す未来
藤間氏:私たちは北海道から新たなスタートアップが生まれ、成長し、世界へ羽ばたくためのエコシステムを確立させたいと考えています。北海道は人口減少や少子高齢化などの面で課題を抱えていますが、スタートアップがその課題を解決するカギを握っていると信じています。
豊田氏:一次産業や宇宙、再生可能エネルギーといった北海道ならではの資源を活かし、日本全国や世界に向けて新しいビジネスを発信していきたいですね。また、今は小さなスタートアップですが、ビジネスを成長させることで、ゆくゆくは日本を飛び越え世界にインパクトを残す存在になってくれたら良いなと思っています。
「STARTUP HOKKAIDOの目指す未来」は、北海道から生まれるスタートアップを中心とした新たな産業エコシステムの構築です。経済にインパクトを与えながら地域課題を解決し、社会に貢献するビジネスモデルを創出することで、北海道だけでなく世界全体にポジティブな変化をもたらしたいと考えています。
北海道という広大な地で展開するSTARTUP HOKKAIDO。単なるスタートアップ支援を超え、人、技術、知識が交わる「共創の場」としても機能しています。HiPro Directでは、こうした北海道のスタートアップの案件を掲載しています。支援を通して、新たな視点やスキルをスタートアップに吹き込み、ビジネスの可能性を広げてください。
※ 所属・肩書および仕事内容は、取材当時のものです。