国内最大のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」開業。多分野の交流と人材の流動化でイノベーション創出を目指す

掲載日:2024/08/27

2024年10月、愛知県名古屋市に開業予定の「STATION Ai」は、地上7階建、延べ床面積約23,000㎡、完成すれば国内最大のスタートアップ支援拠点となる予定です。「STATION Ai」では、さまざまなサポート体制でスタートアップの活動や成長を支援します。

「HiPro Direct」が協業する、副業、フリーランスなどのプロ人材活用支援もその一環となります。今回は、STATION Aiのスタートアップ支援課の責任者を務める片岡 裕貴氏と採用支援を担当する加藤 大貴氏にお話を伺いました。

profile

STATION Ai

片岡 裕貴 氏

STATION Ai

片岡 裕貴 氏

インキュベーション事業推進部スタートアップ支援課 課長 コミュニティマネージャー 1993年大阪生まれ。大阪教育大学大学院教育学研究科を卒業後、ソフトバンク株式会社に新卒入社。 2022年3月までは広島と岡山でソフトバンクショップの代理店に対するコンサルティング営業を担当。 2022年4月から愛知県庁と共にソフトバンクが推進している日本最大級のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」の事業にJOIN。現在はスタートアップ支援課の責任者として活動。主に400社を超えるスタートアップが参加するコミュニティの企画運営や全国のスタートアップ企業の誘致、学生起業家育成プログラム「STAPS」の立ち上げやその後の企画運営を担当。コミュニティマネージャーとしてはスタートアップの課題に対して、面談や専門家への接続、イベントの実施などを行っている。

profile

STATION Ai

加藤 大貴 氏

STATION Ai

加藤 大貴 氏

インキュベーション事業推進部スタートアップ支援課 コミュニティマネージャー(採用支援領域担当) 1990年愛知県生まれ。立命館大学経済学部を卒業後、レバレジーズ株式会社(現:レバテック株式会社)に新卒入社。 その後、株式会社リクルートにて採用支援事業、ヤフー株式会社(現:LINEヤフー株式会社)の人事部にて新卒・中途採用を経験。 2023年10月から愛知県庁と共にソフトバンクが推進している日本最大級のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」の事業にJOIN。 現在はスタートアップ支援課にて、入居スタートアップへの採用支援領域の責任者として活動。

bg-article-1

2024年10月開業予定の国内最大のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」(提供:STATION Ai)

開業5年で1,000社が目標。次世代を担うスタートアップが大規模に集積することで、今までにないイノベーションが生まれる

「STATION Ai」という施設について教えてください。

片岡氏:「STATION Ai」は、フランスの「STATION F」(世界有数のスタートアップ集積施設)から着想を得た、国内最大のスタートアップ支援拠点です。スタートアップだけでなく、各業界をリードする大企業をはじめとしたパートナー企業、さらには大学、金融機関など、いわゆる「産学官金」がそろう予定です。現在、開業準備中ですが、すでに400社を超える企業がエントリーしており、開業5年(2029年)を目処に1,000社のエントリーを目指しています。

国内最大級のインキュベーション施設が愛知県に誕生する意義について教えてください。

片岡氏:東京を中心にすでに素晴らしい拠点が多数ありますが、とはいえまだイノベーション支援拠点が十分には整っていないと思っています。特に愛知は日本の製造業の中心でもあるので、さらに注目されるべきエリアだと考えており、非常に可能性があると感じています。一方で、規模の大きな企業が多く、スピード感をもったイノベーションが起こりにくい構造もあると感じています。

このような特徴を持つ愛知で、次世代のイノベーションを起こせるスタートアップが日本最大級の規模で集まることで、今までにないさまざまなバリューが生まれると期待しています。

開業5年で1,000社を目指しているそうですが、これだけの数のプレイヤーが〝ワンストップ・ワンルーフ〟に集まることに、どのような意味があるとお考えですか?

片岡氏:十分なイノベーションを起こすには、オンラインだけでは難しく、リアルなコミュニケーションが必要だと思っています。しかし、数十社規模で起きるイノベーションには限界があります。

その中で、愛知県とソフトバンクが主導することで日本最大規模の施設ができる、ということが大きな意味を持ちます。規模が大きくなれば、その分イノベーションの可能性も大きくなります。そのため、スケールメリットを活かしたスタートアップ支援、もしくはスタートアップを中心としたオープンイノベーション支援が可能だと思っています。

bg-article-1

大規模な施設だからこそ、オープンイノベーションが生まれやすくなると話す片岡さん

リアルな交流が生まれる開かれた空間、サクセスに寄り添うコミュニティマネージャーのサポート

施設の特徴を教えてください。

片岡氏:たとえば、各フロアがスロープで繋がっていることで、自ずと人がすれ違う回数が増えるようになっています。もちろんそれだけでイノベーションが起こるわけではありませんが、さまざまな場においてコミュニケーションが生まれやすい環境を意識して空間設計されています。

また、1〜2階のカフェやイベントスペース、7階のホテルエリアなど、会員以外の方も自由に入れるスペースがあったり、スタートアップのプロダクトを展示し、「見る・知る・感じる」体験をしたりすることもできます。「スタートアップ」をよく知らない方への接点を作り、いずれはスタートアップ支援施設の主体者になってもらうことが重要だと思っています。「STATION Ai」では、スタートアップが提供する技術やプロダクトに触れる機会を広く提供していく予定です。

特に特徴的な施設、スペースはありますか?

片岡氏:壮観だなと思うのはコワーキングスペースですね。ここで数百社のスタートアップやパートナー企業の交流が始まったら僕らも何が起こるかわからないくらい、わくわくするような規模になっています。

加藤氏:企業だけでなく、大学関係者や金融機関の関係者などさまざまな分野の方が行き交う場所になるはずです。

片岡氏:起業したい、イノベーションを起こしたい、新規事業をやりたい、魅力的な人材と出会いたい、会社を大きくしたいなど、いろいろな思いを持つ人が、それぞれのフェーズは違っても近しい目的のもとに一堂に会する。ただの“場所”ではなく、何かが生まれる“空間”であることに価値があるはずです。今、本社施設をあえて持たない企業も増えている中で、「STATION Ai」は「来るべき場所」になる。その象徴がこのコワーキングスペースだと思っています。

運営面での特徴を教えてください。

片岡氏:STATION Aiのいちばんのバリューは、コミュニティマネージャーの存在です。私も含めて6名のコミュニティマネージャーが配置されていて、さまざまなステークホルダーのサクセスにどれだけ寄り添えるかを価値指標としています。ビジネスコミュニティは、プライベートなコミュニティと違って、そこには何らかの利害関係が発生します。ですから、それをしっかりとコーディネートする存在がいないと、入居企業としてはコミットできないと判断されてしまいます。

STATION Aiでは、コミュニティマネージャーが常に伴走していて、さまざまなアクションを起こしている。それがいちばんのバリューだと考えています。

bg-article-3

広大なコワーキングスペースで数百社の企業が交流することが期待される(提供:STATION Ai)

スタートアップにとって「人材」は重要課題、鍵を握るのはプロ人材の活用

人材採用や活用支援についてお伺いします。スタートアップにとって人材に関する課題は大きいのでしょうか。

加藤氏:とても大きいと思っています。「STATION Ai」に参画するスタートアップは本当にさまざまです。起業を目指す学生や社会人、すでに起業しているスタートアップでも、シード期の企業もあれば、すでにある程度実績を出している企業、さらには上場の準備をしている企業もあります。その中で、共通の課題としていつも挙がってくるのが「人材」です。

正社員で採用するのがよいのか、副業で部分的に参画してもらうのがよいのか、将来的に社員としてはたらいてくれそうなフリーランス人材を見つけるべきなのかなど、人材の採用や活用といっても幅広い選択肢があります。

適切なポジションに優秀な人材が1人入るだけで、会社の未来は大きく変わります。ですから、スタートアップにおいて人材は非常に重要なのです。

具体的にはどのようなサポートがあるのでしょう。

加藤氏:もちろん、それぞれの課題に対するソリューションは個別にご提案しますし、フォローもします。あるいは、採用イベントに参加していただいた人材を獲得できるような機会の提供も行なっていきます。

そしてもう一つは、副業人材とのマッチングです。たとえばシード期の企業では、初めから正社員として採用するのは難しい面があります。スキルセットはもちろんですが、相性も大事。まずは馬が合うかどうかを、お互いが見極めるステップが大切です。そのために、まずは副業からスタートして、互いの志を確認したり、ビジョンに共感したり、というところから始めるケースが多いのです。

片岡氏:スタートアップのフェーズや資金の状況で、人材の獲得や活用方法は変わってくるはずです。それに対して、限りなく最適な解を提供できる環境とサービスが整っているのがSTATION Aiだと思っています。

bg-article-4

スタートアップにおける人材の重要とSTATION Aiのサポート体制について話す加藤さん

スタートアップへの副業での参画はバリューを発揮できるチャンス

スタートアップが求める人材とは、どんな人でしょうか。

片岡氏:わかりやすくいうと「チャレンジしたい」という意欲がある人だと考えています。特に副業であればなおのこと、スタートアップにおいてバリューを発揮する機会はたくさんあると思います。

加藤氏:もちろん、ポジションによって求められるスキルはさまざまなかもしれませんが、片岡が言うようにチャレンジしたい人が求められています。自分のスキルが社外で通用するのか不安に感じている方でも、やってみようという気持ちがあることが非常に大切です。

多様なはたらき方が増えてきていますし、スタートアップで副業にチャレンジしてみよう、と思ってくれたら私たちとしてもありがたいですね。

これから「STATION Ai」に入居するスタートアップの支援に参画を希望するプロ人材へメッセージをいただけますか?

片岡氏:副業はリスクヘッジをしながらチャレンジができる選択肢だと思っています。この記事を読んでいる方は、もうその時点で関心があるということですから、ぜひチャンレンジしてみてほしいと思います。

加藤氏:最初は見学からでもよいので、まずアクションを起こしてほしいと思います。なにかやってみたい!と気持ちが動いたら、応募していただけるととても嬉しいです。

bg-article-4

「STATION Ai」に入居するスタートアップの支援に、ぜひチャレンジしてみてください

※ 所属・肩書および仕事内容は、取材当時のものです。

SNS Link

facebook x linkedin line