「良いことをやっている」だけでは、社会課題は解決できない。社会起業家にビジネスの力が必要な理由

掲載日:2025/01/24

なぜ、私ははたらくのか―社会経験のある人なら、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。人生における「はたらく」という時間を、より社会のために還元できるなら、それは大きなやりがいにつながるに違いありません。HiPro Directでは社会起業家と共にはたらく、副業やフリーランス人材を募っています。

社会起業家とはどのようなビジネスをしている人たちなのか、抱える課題は何か、社会起業家が求めるパートナーはどのような人なのか。社会起業家を支援する株式会社taliki 代表の中村 多伽さんに話を聞きました。

profile1

株式会社taliki

代表取締役CEO 中村 多伽 氏

株式会社taliki

代表取締役CEO 中村 多伽 氏

京都大学卒。在学中に国際協力団体の代表としてカンボジアに学校を建設。ニューヨークのビジネススクールへの留学経験を持つ。2017年、社会課題を解決する人材の育成や社会起業家向けのファンド事業を行う株式会社talikiを設立。

より深い課題解決を目指せば、自然とターゲットが広がる

まずは株式会社talikiの事業内容について教えてください。

京都で設立し、2024年で7周年の会社です。ビジョンは「命を落とす人、死ぬより辛い人の絶対数を減らす仕組みを作る」を掲げています。

当社では、主に4つの事業を行っています。社会課題解決の0→1を増やすための起業、事業創出支援プログラムの提供と伴走を行うインキュベーション事業。シード〜シリーズAフェーズまでの社会起業家へ出資するファンド事業。大企業をはじめとした社会課題解決を目指す企業と、社会起業家を連携させることで新規事業創出や協業を行うオープンイノベーション事業。難しいビジネスでの社会課題解決の事例を200以上一般公開しているメディア事業です。

ファンド事業について伺います。投資先はどのように選定しているのでしょう。

基本的には社会課題の解決を目的としているシード、アーリーフェーズの起業家へ投資しています。

投資をするか否かの判断は、「社会課題の解決についての解像度の高さ」です。例えば、フェアトレードであっても質の悪いものを売っていては誰も買ってくれません。どうやって質を高めながら正規価格の売買を成立させるのか、それを実現させるためにどのようなシステムチェンジを起こそうとしているのか、という点を見ています。既存の手段では解決できていないのに、なぜ自分なら変えられるのかを突き詰めなければ事業は成功しません。

さらに“投資”である点を考えると、ビジネスに十分な拡張性があるかどうかという点も欠かせません。ビジネスとして成立するのが難しい小さなマーケットしか見えていない社会起業家に投資し、支援することは現実的ではありません。今狙っているマーケットがニッチであったとしても、ニッチトップを取ればどのような広がりがあるのか、最終的にどのような世界を目指しているのかを重視して投資の判断をしています。

社会課題の解決を目指す場合、資金調達や利益を継続して出す仕組みづくりにハードルがあるのですね。

先述の通り、ソーシャルビジネスは一般的にマーケットが小さいと思われやすく、投資を受けづらいという特徴があります。しかし、より深い課題を解決しようとすると自然とターゲットが広がり、捉える世界が広がるのです。

例えば、重度障害児向けのリハビリ支援ビジネスは、一見ニッチな分野だと思われるかもしれませんが、「リハビリ」に対象を広げると、支援を必要としている人は世界に24億人もいるのです。つまり、重度障害児向けのリハビリ支援ビジネスという深い課題を解決しようとすることの先には、24億人のマーケットがあるということになります。そう考えると、投資を通じて社会起業家を支援できるのです。

半径5メートルにあるニッチな課題を解決しきっても満足できず、さらに多くの人を救いたいという意思のある人、使命を感じている人を応援したいと思っています。

bg-article-1

「使命」という言葉は、「命を使う」と書きます。「自分の命をどう使うか」を真剣に考えている社会起業家が好きなんです。

社会起業家と共に、ビジネスを拡張させていく

社会問題に関心があっても、簡単に社会起業家として一歩踏み出すことは難しいと思います。いわゆる一般的な“起業”との間には、どのような難しさの違いがあるのでしょうか。

社会起業家は、検証がほかのビジネスより一つ多いという難しさを抱えています。通常のビジネスは顧客の課題を見つけて、それを解決するものです。もちろん、それが簡単ではないことは重々承知していますが、社会起業家は課題が顕在化している場合が多いものの、課題が発生する原因や解決方法の構造が複雑な場合が多く、そこの検証に時間がかかります。

また、課題を解決してほしい当事者が顧客にならないことがほとんどなので、マネタイズの検証も必要になってきます。だからこそ、社会起業家だけでなく、社会起業家に伴走するビジネスに精通した副業やフリーランス人材の存在が重要なのです。

社会起業家と共にはたらく副業やフリーランス人材には、どのような素養を持つ人が求められるのでしょうか。

ビジネスに強い人です。先述の通り、社会起業家もビジネスを拡張させていく必要があります。つまり、マーケットをどう捉えて、どのような戦略を立てるべきか、その戦略を用いてどのようにマネタイズするのかを考える力が重要になります。

「良いことをやっているから応援してください」ではなく、ビジネスとしてwin-winの関係を築かなければなりません。実際に売れるかは別問題として、売れる仕組みを共に考えられるパートナーが必要なのです。

そうしたスキルを持つ副業人材やフリーランスとマッチングできた場合、どのようなことを期待しますか。

とにかく接点を増やす役割を担ってほしいです。お金の払い手がどこにいるのかを探すのは、人海戦術で行うことも多いです。だからこそ、行動力のある人材を求めています。

一般的には、起業家本人がいろいろな場所に行ってピッチをしたり、人との出会いを通じて紹介を受けたりして払い手にたどり着くのですが、その過程を短縮でき、さらに一緒に背負ってくれる人がいれば、社会起業家のビジネスは一層加速すると思います。

bg-article-2

社会課題をビジネスで解決するには、多くのハードルがあります。想いを持った社会起業家と伴走するビジネスのプロの力が必要です。

「何のためにはたらくのか」の答えが見つかるかもしれない

社会起業家と共にはたらくやりがいはどのようなものでしょうか。

自分の仕事が誰の役に立っているのか、何のためにはたらいているのかわからなくなることは、誰しも経験があるでしょう。

社会起業家は、社会を良くするためのビジョンを持っており、はたらくことで幸せにしたい人が明確です。だから、共にはたらく人にとっても意義を見失いづらく、ビジネスが、自分の仕事が、社会のためになるという実感を得られると思います。

最後に、社会起業家をサポートしたいと考えている副業やフリーランス人材の方にメッセージをお願いします。

社会課題はシリアスなので、見たら目をそむけたくなることもあるでしょう。同時に、社会課題をビジネスで解決しようとすると、実際に成果が見えにくく無力感があるときもあります。それでも、社会課題解決にアクセスする手段を持っているというだけで、見える世界が変わってくるはずです。

社会起業家は、社会を良くするためのビジョンを持っており、はたらくことで幸せにしたい人が明確です。だから、共にはたらく人にとっても意義を見失いづらく、ビジネスが、自分の仕事が、社会のためになる実感を得られると思います。


社会課題解決は一筋縄ではいかないからこそ、社会起業家は多様なスキルセットを持つ人材を求めています。はたらく意義を今一度考えたい人、自分の仕事が社会貢献に直結している実感を持ちたい人、解決したい社会課題が目の前にある人。そのような志を持つ副業人材やフリーランスの挑戦を、多くの社会起業家が待っています。

bg-article-3

「やりがいに迷わない仕事」に出会えるのが、社会課題解決ビジネスです。社会起業家のビジョンに共感できれば、きっと楽しんではたらけると思います。

※ 所属・肩書および仕事内容は、取材当時のものです。

SNS Link

facebook x linkedin line