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地方を舞台に、培ってきたスキルを活かしていきたい——そんな思いを副業・兼業という形で実現できる機会が生まれています。山形県が実施する副業・兼業を希望する都市部のプロフェッショナル人材と県内中小企業をつなぐ「やまがた未来(みら)くる人材活用事業」では、同事業がスタートした2023年10月以降、 多くの個人が自らのスキルを最大限に活かし、山形県の企業等に携わり、事業の発展や地域の活性化に大きく貢献しています。
今回は、山形県寒河江市でさくらんぼ観光農園を経営する株式会社ビー・エム・エフの相座 章弘氏と、農園のリニューアルオープンに向けたブランディング支援の プロジェクトに参画しているプロ人材、 中井 拓朗氏が対談。山形県で副業・兼業をする 魅力やプロ人材を受け入れることの意義、そして 今後の展望を語っていただきました。
株式会社ビー・エム・エフ 取締役経営企画部長、青山建設株式会社 専務取締役。山形県寒河江市出身。金融、コンサルティング業界などでキャリアを重ね、青山グループへ。同グループでは建設業や運送業、ホテル事業など幅広いビジネスを手掛けており、株式会社ビー・エム・エフは同 グループの農業部門として、さくらんぼ農園の運営などを行っている。
ECサイト、ホームページ、 SNS等の企業向け事業支援「Wan-di」代表。神奈川県横浜市出身。2018年、長野県への移住をきっかけに、株式会社長門牧場に入社。同社で営業やEC事業、SNS運営などを約5年間兼任。1年6ヶ月の副業期間を経て、2023年に「Wan-di」を設立。現在、全国各地の企業に伴走し、プロモーションやPR支援などを行う。
さくらんぼの一大産地として知られる山形県寒河江市。本プロジェクトではさくらんぼ農園の認知度の向上とファン獲得を目指します。
観光農園をリニューアルし、ファンをつくる中長期プロジェクト
相座氏:ご存知の通り、山形県はフルーツ王国として知られており、さくらんぼは寒河江市を代表する果物です。この農園では、およそ2ヘクタール、サッカーコート約3面分の畑に、佐藤錦ややまがた紅王など、さまざまな種類のさくらんぼが実をつけます。そんな私たちの農園では、今年から8年ほどかけて果樹の植え替えを行ない、900本を超えるさくらんぼの木を育てていく計画を立てています。
もちろん一度に全ての木を植え替えるわけではありません。よって、今後数年間は収穫量が変動するでしょうし、さくらんぼ狩りができるのは毎年6月の限られた期間だけということもあり、端境期(はざかいき)には農園における新たな収益源をつくる必要もあります。そこで、植え替えという大きなリニューアルの タイミングに合わせ、より多くのファンをつくるためのアイデアを出し合い、一緒にブランディングに取り組んで いただく方を募集したいと、「やまがた未来くる人材活用事業」を活用することにしました。
前職の牧場では観光客誘致の施策に尽力していた中井さん。現在は企業のブランディング支援などを、全国各地で20社弱担当されています。
牧場や地方企業支援で築いたスキルを大いに活かしたい
中井氏:私は神奈川出身ですが、山登りという夫婦共通の趣味があり、それ故に長野に移住したという バックグラウンドがあります。牧場に勤めたのも 、この長野移住がきっかけでした。地方の農業に携わり、現在も各地の企業 の支援をさせていただく中で感じるのが、地方にはまだ知られて いない魅力がたくさんあるにも関わらず、それを発信する環境が整っていないケース が多分にあるということです。山形県にゆかりはありませんでしたが、 さくらんぼ農園のブランディングやファンづくりといった課題は、私のスキルで支援できるのではないか と思い、応募しました。
相座氏:約20名の方からエントリーしていただきましたが、中井さんと 初めてオンラインでお話しした 時、とても誠実でまっすぐな方だと感じました。もちろん実績面でも安心感がありましたが、決して上から目線であったり、私たちを置いて行ってしまったりするようなコミュニケーションではなく、あくまで同じ目線で 物事を考えてくださる姿勢がマッチングの決め手となりました。
中井氏:私も相座さんの本気度や主体性を感じ「このプロジェクトを 上手くやっていけそうだ」と思えました。マッチング後、資料を送っていただいた タイミングで「現地に行ってみたいです」とお伝えすると、 すぐに「ぜひ」と前のめりに回答くださいました。そうした言葉の端々からも、単に“おまかせ”ではなく、一緒に走っていきたいという意志をひしひしと感じたのです。
支援を開始してから初めて迎える収穫時期に、中井さんは「足を運ぶたびに景色の変わる園地に発見の連続」と語ります。
現地を訪れたからこそ気づけた、農園の“資産”
中井氏:最初のキックオフミーティングで直接園地を拝見して、一番衝撃だったのはロケーションの素晴らしさです。広大な土地にさくらんぼの木がずらりと並び、美しい山々に囲まれた環境は圧巻でした。これも現地に赴かねば知り得なかった、農園の大きな資産です。
相座氏:中井さんとは、オンラインや オフラインで農園のこれからについて早速意見を交わしています。植え替えの期間をどう有効活用していくか、数年後を見据え、どのようなタイミングで、どのような情報発信をしていくべきか、ファンをつくるための仕掛けとしてどのような施設が必要かなど、話は尽きません。
中井さんの発想は、単に「さくらんぼカフェをやりましょう」といったことに留まらず 、そこで何を売るかといったアイデアも次々に飛び出し、驚かされるばかりです。また、そうしたアイデアを押し付けてくるわけではなく計画的に伴走してくださる姿勢に、責任感を持って寄り添ってもらっていると感じています。これから秋口にかけ、SNSの開設やPR施策からブランディングがスタートする予定ですが、数年後、農園がたくさんの方の笑顔で溢れるのがとても楽しみです。
相座さんは「SNS等に強い人材が少ない地方だからこそ、やりがいは大いにあると思う」とも語ります。
知らないことを知ろうとする姿勢が、プロジェクトを動かす
相座氏:私たちも都市部や他の地域ではたらく方々の知見に多くの学びを得ていますが、逆に山形県で副業・兼業される皆さんにとっても、新たな発見があると思います。例えば、山形県の食文化一つをとっても、遠方からいらっしゃった方は口を揃えて「食材の味が違う、とても美味しい」とおっしゃる。そうした小さな発見をしてもらえることが、地方ではたらく醍醐味なのかもしれません。
中井氏:発見という点では、私も大いに共感します。同時に分からないこともたくさん出てくるはずです。それを、分からないままにするのではなく「教えてほしいです」とはっきり伝えることが、地方で副業・兼業をする上で重要だと思っています。大事なのは相互理解を深め、そこで互いに得た知見をさらにサービスに落とし込むことであり、それが全員にとってのメリットとなるはず。自ら知ろうとする姿勢を忘れない——これは、私も常に胸に刻んでいるモットーです。
副業・兼業を希望する都市部のプロフェッショナル人材と山形県内中小企業をつなぐ「やまがた未来(みら)くる人材活用事業」では、山形ではたらいてみたい方を募集しています。自らのスキルを大いに活かし、山形県でまだ見ぬ「仕事のやりがい」を得てみませんか。
※ 所属・肩書および仕事内容は、取材当時のものです。